その3へ
私がこの肉体を維持して行く為には、生き続ける為には、一体いくつの生命を
喰い続けなければ・・・。
米の一粒が春に芽を吹く一つの命と意識したならば、天文学的な命の蓄積が
私のたった一つの肉体を維持している事になる。
肉を食べない信仰も魚を タブーとする信仰も完璧なる聖者への道は遠い。
古代の洞窟壁画の狩猟紋では狩人が主人公であったなら、
私の狩猟紋シリーズは狩捕らえられ、食べられる側が
主人公となっている事を理解されたい。
兎は狼に捕らえられ食べられる。
そして、血となり肉となり知識となりエネルギーになって、狼を支配し、
走らせ、性の行為をなさせ、子孫を残す。
食べられた兎は、ミクロンの世界をくぐりぬけその子孫へ伝わってゆく。
そして、新しい小さな生命をも支配し、新しく食された兎と融合して、
兎は狼に化身するのだ。
それが食循環のメカニズムへの逃避ならば、
生命を喰う事が苦痛を伴わないで済むのかも知れない。
美しく食われる・・・
本能は化身を既に知っている筈である。
その時、猛烈な制作意欲が私を動かし沢山の「狩猟紋シリーズ」の作品を
手掛ける事が出来た。
童鬼